災害等非常時屋外拡声システム性能確保のためのASJ技術規準 第1版

「災害等非常時屋外拡声システム性能確保のための ASJ 技術規準第1版 」

(略称:ASJ 屋外拡声規準)

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・本規準策定にあたっての視座

 「災害等非常時屋外拡声システムのあり方に関する技術調査研究委員会」は委員会会合において,問題の洗い出しと,基本方針の設定を進めてきた。その結果,日本音響学会が何らかの技術規準を示すにあたり,災害等非常時屋外拡声システムのあり方に関して,次の3点が重要であるとの結論に至った。

1.屋外拡声システムは非常時に住民に情報を伝えることにより行動支援の一躍を担うという役割を果たすために,システムはそのサービスエリアに対し確実に情報を伝える音響的性能を持つべきである。

2.災害等非常時屋外拡声システムを構築する際にはシステムの持つべき性能を充分に検討することが必要である。

3.災害等非常時屋外拡声システムを運用する際には,その性能を発揮させるための手段を講じるべきである。その際,システムを用いても音声情報が有効に伝わらない状況があることを認識することが必要である。

 この「災害等非常時屋外拡声システム性能確保のためのASJ 技術規準(第1 版)」(略称:「ASJ屋外拡声規準(第1版)」)はこれらの視座を踏まえ,2015年4月に公開した「災害等非常時屋外拡声システム性能確保のための規準案(第1版)」を改定し,屋外拡声システムの設計目標と,性能確認および向上を図るための技術的要件として現時点で社会に実施を求める充分な合理性があると考え得るものをとりまとめて公表するものである。これは,音響を専門とする我らから社会への提言である。(経緯と改名の背景

・我々の期待

 このASJ屋外拡声規準(第1版)は,音響技術者がすべき最低限の設計目標と確認項目を網羅しており,これを広く社会に示し,実施を求める意義は大きいと判断している。

 すなわち,この技術規準に記す設計目標は必ず検討すべき技術的検討事項であり,本規準に示された手順に従ってシステムの施工,改修を進めることが望ましい。ただし,関係者の合意のうえで各々の事情に合わせる形でこの規準を改変して運用することは否定していない。現場実業においてシステムの施工,改修を行うに際し,この規準に沿った手順,あるいは,この規準案を参考に各々の事情に合わせる形で改訂したうえで文書化された手順に従って作業が進められれば,設計および評価の関連性および評価データの蓄積が促進され,技術の普及促進と社会的資本としてのシステムのあり方の基盤構築が可能となる。また,その評価データは,将来更に進んだ規準案の提案を可能とするための重要な基盤になるであろう。

・「ASJ屋外拡声規準(第1版)」の構成

 本規準は以上の経緯に基づき,システムの設計にあたって目標とすべき事項と,施工または改修後に確認が必要な事項を提案するもので,本文と,それを実施するための参考となる解説から構成されている。

・今後への決意

 これからも災害の発生を完全に防ぐことは困難であろう。その中で,屋外拡声システムからの拡声音は,受け手が特別な装置を必要とせずディジタルディバイドの問題もないという点で大変有効な手段であり続けると考えており,その技術の高度化を不断なく進めることが必要である。それには日本音響学会,本委員会が学術研究の進歩に合わせ規準案の検討を深め,改訂を進めていくことが何より重要であると考えている。